
分 類:小名狂言 太郎冠者物
登場人物:太郎冠者(シテ)、主、客
あらすじ
主に酒の相手を捜して来いと言われた太郎冠者が男を連れ帰るが、主が酒癖が悪い人をなぜ連れてきたと叱る。仕方ないので太郎冠者に、「身共の言う様、する様にせぃ」と命じる。太郎冠者は、本当に主の言動通りに行動する(叩かれたら、客を叩く等)ので、話が段々と脱線してくる。怒った主は、太郎冠者を投げ捨て、客に一礼して、その場を立つ。起きあがった太郎冠者は、客を投げ捨て、同じく恭しく一礼して、その場を出ていく。

みどころ
まさに、“シンプルイズベスト”の感がある、よくできた小品。元は、狂言『察化』の後半部分が独立したもの。
ところで、太郎冠者は「わかっていて」、それともむしろ「バカ正直に命令に従っていて」口真似を繰り返しているのでしょうか。これは、演者の演じ方、観客の見方によって、どちらとも捉えることができます。僕は結構、後者のつもりで演じます。主に投げ飛ばされた後の「こりゃ、だんだん難しゅうなってまいった」というセリフの存在が、「やっぱバカ正直なのかなぁ」と思わせるのです。
ちなみに、お客さんについて。もしこの役を真理子さんがやったら、“真理之丞”殿と演目内で説明されるでしょう。このように、演者の名前や名字が、そのまま役名となります。狂言って、すごいでしょ?(知ってた?)
また、「一杯飲めば、一寸抜き・・あのような恐ろしいお方は・・」とありますが、どうやらこのお客さん、酒を飲むたびに懐の刀を徐々に抜いてしまう悪癖があるようです。正しく酒の席に呼びたくない恐ろしい人ですね。でも、舞台ではこの人は酒も飲めず、ただただ太郎冠者に翻弄されるだけ。折角の酔態が観られなくて、ちょっと残念とも言えますね。
文:湯田拓也
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