三本の柱(さんぼんのはしら)

分  類:脇狂言 果報者物

登場人物:果報者(シテ)、太郎冠者、次郎冠者、三郎冠者


 あらすじ

 新たに家を作っている果報者は、三人の冠者の知恵のほどを見極めるために、山に切っておいてある三本の柱を、各人二本ずつ持って帰れと命じる。冠者達は早速山へ行き、柱を見つけ担ぐが、各人一本しか柱を持てないので考え込んでしまう。柱を持ったまま考え込んでいたので疲れてしまい、三人とも持っていた柱をとりあえず置いて休むが、よく見ると、三本の柱で三角形が出来ており、その頂点に立てば各人二本ずつ持てる事に気づく。柱を持ち拍子に掛かって帰宅すると、主人が「よくやった」と言ってめでたく三人を家に迎え入れる。

 

 みどころ

 客席からすると、どうやって三本の柱を三人の者たちで二本ずつ持つかを思案するところが可愛げなところですが、演者からすると重い柱を持って、三人の呼吸を合わせてシテ柱にぶつからないように浮き、留でも床に柱がぶつからないように下げるというところが大変なようです。もしかしたら、三人も冠者が出てくることのほうが見どころとして相応しいかもしれません。
 脇狂言ですので可笑しさよりも目出度さを強調しますから、狂言づくしの会で上演されることは滅多にありません。特にこの曲は、翁や脇能付きの脇狂言として上演しないと、目出度さもでませんし、面白くもなんともありません。荘厳な雰囲気の中であるからこそ、三郎冠者の唯一の役割である「ア痛、ア痛」というところにクスっとなるのです。脇狂言は何よりも祝言性を体感する狂言と言うことです。

 うんちく

 実際に家を建てるのに使うような柱ではとうてい筋力が持たないので、普通は棒といっても過言ではない細さの柱を使います。さらに、年寄り用として桐で作ることもあります。しかしながら、木村社中では柱を作った人の手違いから、通常よりも一回り大きな柱を使っています。実際の柱としても十分使える太さです。 末広かりや鐘の音などのように体力派狂言とささやかれる演目がありますが、重い柱を持ち、浮いた挙句、床に触れないように中間位置で静止して留めるこの狂言は、もっとも体力と筋力の要求される狂言だと思われます。そのため滅多に上演されませんが、柱を用いた目出度い狂言ということで家や能舞台の落成式に上演されることが多いようです。

文:佐渡のきつね

 

 公演情報


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