痿 痢(しびり)


“しびり”を切らした太郎冠者に、主は民間療法(?)で対処。

 

別 表 記:痿痺(大蔵流山本家)、痺(和泉流)

分  類:小名狂言 太郎冠者物 

登場人物:太郎冠者(シテ)、主


 あらすじ

 肴を求めに堺へ行け、と主に言いつけられた太郎冠者は、行きたくないので、仮病を使って座り込み、持病のしびりが起こり歩けないと言って断る。
 太郎冠者のたくらみを察知した主は、一策を案じて、「何、伯父のところから振舞に呼ばれたというか、しかし太郎冠者はしびりを切らしたので連れて行かれないと返事せよ」と大声で呼ばわる。太郎冠者は聞きつけて、供に行くと言い、しびりに対して宣命(せんみょう)を含めた(よくよく言い聞かせた)ので、治ったと言って立ってみせる。主はそれならば堺へ行けと言う。太郎冠者はまた痛い痛いと座り込む。


「さあ、立て!」「ええい、静かに召され」

 みどころ

 小品(10分〜15分)であるが故に、『舟船』『土筆』『伊呂波』『口真似』同様、よくKGKKに入りたての新人が一番先に演じる狂言です。
 そんな小品ながら、じっくりと太郎冠者の「なんのこっちゃ」話に耳を傾けていると、おかしみがぐいっとこみ上げてくる佳作狂言です。とにかく、太郎冠者の話は、お使いに行きたくないだけの、すべて“でっち上げ”なんですよね。その“でっちあげ”として、いきなり「私は、親から“痿痢”を相続した」という話をしだしたのだから、正しく「なんのこっちゃ」なのです。が、その「なんのこっちゃ(笑)」を探し出すこと、そう感じることこそが、狂言全般に対する楽しみ方だと私は常日頃感じているのです。

文:湯田拓也

 公演情報

 


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