
分 類:大名狂言 大名物
登場人物:大名(シテ)、太郎冠者、女
あらすじ
遠国の大名が帰郷することになり、在京中の愛人のもとへ暇乞いに行く。女は涙を見せるが、実は水をつけている。これを太郎冠者が見つけ、そっと墨の水入れに取り替える。それとは知らず女は泣き続ける。
大名は女の顔が黒くなるのに驚き、形見に鏡をやって顔を見させる。女は怒り、逃げる二人の顔に墨を塗りつけて、最後は三人とも墨塗りの顔になる。
みどころ
「最後は三人とも・・・」と述べましたが、もしかしたら(歌舞伎の黒衣と同じく「見えない」筈の存在なのに)後見まで顔を墨で顔を真っ黒けにされてしまったりすることもあり得る楽しい狂言。最初は太郎冠者に「ウソ泣きしているというウソを付くな」と言ってた大名が、初めて墨塗りの顔の女を見たときの呆然とした様、また相手を助けようとして、結局大名と太郎冠者が交互に塗り込められる様(あたかも、顔を塗られる為に、女の前に飛び込んで来るみたい)がとても愉快です。最後の大名・太郎冠者の大笑いは、笑う対象である女の顔と同様真っ黒な二人が笑うのですから、「あんたらだって・・」と、つい橋掛リの二人に対し、指を差してこちらも笑いたくなるような、ほんわかとした狂言です。
文:湯田拓也
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