呼 声(よびごえ)


「太郎冠者殿、留守で御座る!」
ぐるぐる、目が廻る〜

 

分  類:小名狂言 二人冠者物

登場人物:太郎冠者(シテ)、主、次郎冠者


 あらすじ

 主人に暇も乞わずにどこかへ出かけた太郎冠者を、主が次郎冠者を連れて叱りに行く。案内を乞うと、太郎冠者は居留守を使うが、節を付けて案内を乞ううち、太郎冠者も浮かれ出して姿を現す。


「なんの留守!」「ヘッ、頼うだお方」
居留守がばれた瞬間です。

 

 みどころ

 主と次郎冠者は「太郎冠者殿、内にござるか、内にござらばお目にかかろう」、太郎冠者はそれに答え、「太郎冠者殿、留守でござる。御用ござらば、仰せおかれ」、これらの文句を、平家節・小歌節・踊り節(現代風で言えば、ラップでも良いのだ)で謡って行くところが見どころの、とにかく愉快な小品。平家節・小歌節では、狂言師の謡の技術に注目し、その割にはおかしな文句を言うところに笑ってしまいます。最後は、実際に舞台上をグルグル回り出すのですが、動きに自身ある狂言師なら、バターになりはしないかと心配するほど、本当に超スピードで動き廻ります(一人遅かったりすると・・・)。
 ちなみに和泉流では番外曲ですけど、近年復曲されまして、次郎冠者が登場せずに主だけが太郎冠者の私宅に出かける形と、大蔵流と同様次郎冠者を出して三人で演じる形の両方があります。最後の踊り節での廻り方につきましても観た限りでは、和泉流は前後、大蔵流茂山家では円、大蔵宗家では四角く角をとって廻っていたりと違いがございます。
 余計な話@:「太郎冠者は、主の家の召使いなのだから、いわゆる奉公人の様に住み込みで働いている」とお思いの人が結構多いと思いますが、ほら、ちゃんと太郎冠者は自分の家を持っていることが、こういう“太郎冠者の不奉公物”の狂言を観ると判明するでしょ。
 余計な話A:私は以前、この狂言の稽古テープを利用し、家の留守電に「はい、○○でございます。ただ今・・」と自分の声を入れた後に、♪「・・留守でござる。御用ござらば、仰せおかれ」とつないで利用しておりました。これを聞いた親に「ちゃんとした電話だったらどうするの!」と叱られ、結局当たり障りのないものに変更しました(結構、ある方面には好評だったのに・・・)。

文:湯田拓也

 公演情報

 


「狂言演目紹介」冒頭ページに戻る

トップページに戻る